利根川進:「うん、それは一つのきっかけがあってね。あの[京都大学の経済]研究所に浅田彰という男がいた。
これがものすごく頭のいい男でね。ぼくがこれまで出会った人間のうちで一番頭がいい男でね。とにかく何でも知っている。
数学がものすごくできて、文学にも明るかった。基礎教養だけじゃなくて、およそ何でも知っている。政治学・社会学・歴史学・文化人類学
・金融工学・精神分析・記号論・哲学・美学・音楽・絵画・舞踊・オペラ・心理学・建築・現代数学(純粋数学)・理論物理学・コンピューター・医学・薬理学まで知っていた。
もともと佐和隆光の弟子なんだけど、特別研究員を7年間もやって、そのころから天下に鬼才として名の知れわたっていたというような人なの。
本人も、体育科(運動神経)のこと以外なら何でもアドバイスしてやれるから何でもきいてくれというくらい幅が広かった。
だからもちろん、経済学もよく知っていた。あの[経済]研究所で彼が経済学がわかる人だったもんで、ぼくとすごくいい友達になったんです」