>>85
逆だ。バロック時代のヴァイオリンソナタの主役はあくまでヴァイオリン。
ヴァイオリンがメロディーを歌い、華麗な技巧を披露するが、鍵盤楽器(チェンバロ)は通奏低音
数字譜で書かれている。つまり単なる伴奏でしかなかった。
(だから数字譜を読めないモダン楽器の鍵盤楽器奏者にとっては演奏するのは難しいわけだが)
実際にCDを聴けばわかるが、バロック時代のヴァイオリンソナタのヴァイオリンには
ウィーン古典派のヴァイオリンソナタより遥かに高度な技巧が駆使されている。

鍵盤楽器が伴奏楽器の地位を脱して自己主張し始めたのは、バロック時代が
終わりにさしかかった頃。バッハのヴァイオリンソナタぐらいからようやく
チェンバロパートが数字譜でなく、きちんと音符が書き込まれたヴァイオリンソナタ
が出てくる。

初期モーツァルトや初期ベートーヴェンがピアノが主役なヴァイオリンソナタを
書いたのはなぜなのかというと、要するに彼らは名ピアニストだったから
ピアノが活躍するヴァイオリン助奏つきピアノソナタを書いた。
その背景には、鍵盤楽器がチェンバロからピアノへと進化し、音量と表現力を
拡大したことがある。