>>316
Bitschの本に、公理 axiome という言葉は使われているんですか?
Bitschの本は残念ながら見たことがないのですが、この前図書館に行ったらデュボワの本が
あったので借りてきました。
(「和声学 理論編 」 平尾貴四男 訳、八代秋雄 校訂・増補、元の本は1921年頃出版)
ざっと目を通しただけですが、芸大和声とは全然違います。

結論から言えば、私はデュボワの本に芸大和声に見られる問題があるとは思いません。
芸大和声は和声の公理系を提示し、和声例は全てそれに基づいて杓子定規に正誤が定められます。
また実際の音楽の楽譜の引用も全くなく、私の感じ方では、音楽について論じた本というより
数学書かなにかのように思えてしまいます。

一方、デュボワ本には公理などという言葉は登場せず、連続8度・5度の禁止など厳格な規則も
ありますが、基本的に「こうするときれいに書ける」という手引きの集まりといった趣です。
実際、例も個々のケースに応じて「良好」「きわめて良好」「生硬で不良」「前例より劣る」
「しばしば許容される」「できる限り避けよ」など、価値判断的なものが書かれているのが目立ちます。
Beethovenなど、実際の音楽からの具体例も適宜引用されており、音楽を作るための手引きとして、
実際に音楽について書かれている本だということがよく分かります。

理論面でも、デュボワ本は数字付き低音に基づいており機能和声理論に基づく芸大和声とは
異なります。結果として、例えば芸大和声ではありえないはずのV→IV(D→S進行となる)
がふつうに認められていたりします。