28の3楽章の、歌が膨らんでいくことによって既存の形式を乗り越えていくような自己増殖的フォルムが好き。
熱情は構成的に工夫しているというよりは、例えば1楽章はソナタ・アレグロ形式の各部分を拡大させていったということでしょう。
もちろん、その拡大が散漫になるのではなく、互いに緊密な状態を維持させたままであることには驚愕し、感動するけれども。
29のフーガはほとんど狂気にも思え、それに戦慄し、30のフーガは大雑把とも思える展開に思わず笑ってしまう時もある。
ベートーヴェンには、生真面目で革新者で楽聖で、その作品は巨大な構造美を持ち、ときにある種の宗教的な精神も見せ云々…だけで捉える事の出来ない面もあると思う。