特に日本のクラシックファンは録音でしか知らないので、
50年代のカラヤンがほんとうはどういう演奏をしていたのかわからないんだよね。
実演では70年代とさほど違わない演奏をしていたのじゃないかという気もする。

録音技術の進歩でダイナミックレンジをひろくとれるようになったため、強弱の差が激しいカラヤンの演奏を
「こけおどしだ」「わざとらしい」「演奏が大見得を切っている」などという言われもない批判を浴びるようになった。
もともとそういう演奏をしていたかも知れないのに。

宇野功芳なんかが、「ブル8の冒頭はppではなくmpではじめるのが正しい。
クナなどブルックナーを分かっている指揮者は必ずこうする」などといっているが、それは古いダイナミックレンジの狭い録音に
慣れていて、そういうサウンドが好みとしてすり込まれているだけじゃないかと思う。

だから、福永とか古い世代の評論家の言説は、古いレンジの狭い音になれてしまっているため(しかも本人はそのことに無意識だったりする)、
現代の聴き手にとっては全く当てにならない批評だと思う。