>>754
>人間はとても嫌がるというとき、そこにとても大きな理由があるからだ

これは、ショパンに関して言えば、彼とベートーヴェンとの関係がちょっと
これに近いのじゃないかと思ったりもします。こういう考え方はあまり書物でも
見たことがありませんが。

ショパンは一般的にはバッハやモーツァルトへの盲目的崇拝に比べ、ベートーヴェン
からは距離を置いています。
ただし、それなりに大きな存在であることはもちろん言明もしています。
若いころベートーヴェンのピアノ三重奏「大公」を聴いて偉大だと言ってますし、
初期を中心にピアノソナタを人前で何度か演奏もしています。特に作品26の
変イ長調のソナタの演奏はそれを評した人が複数いて、素晴らしい演奏だったそうです。
ショパンはこの作品26のソナタからかなりの影響を受けて「葬送」ソナタを
作曲したのは間違いないところでしょう。
ただ、ショパンはベートーヴェンの中期以降の曲についてはほとんど興味を示して
いないばかりか、批判もしています。
私が見るに、これはある種の近親憎悪もあったのじゃないかと。すなわち、中期ベートーヴェン
のいくつかの曲の持つ激しさ、この雰囲気を受け継いだのがショパンのある種の曲なん
じゃないかと思うんですよ。革命のエチュードや、葬送ソナタのむき出しのような
激しい感情表現は、それ以前にはベートーヴェンの作品ぐらいしか前例がないように
思うのです。
ショパンのこの表現はベートーヴェンからの影響ではないようには思うのですが、
自分の中になる荒れ狂う表現にはショパン自身少し自己嫌悪の情を持っていて、
だからそれに近いベートーヴェンの中期作品も遠ざけていたのじゃないかな、と
感じているのです。