当時彼女にはスターの自覚はなく、大ブレイクしたザルツブルクですら楽屋
にレンタル自転車を置いていて、アパート (まだホテルに泊まれるギャラ
じゃなかった)から自転車で劇場に通勤してた。

オフタイムはスッピンだったけど美人なので街を歩いているとすぐわかったのと、
気さくに「ハロー」といつも向こうから声をかけてきたのは今でも覚えてる。

世界一の売れっ子歌手となった今、自転車通勤、スッピン、着古したジーンズで
街をブラつくなんてことはなくなったし、ザルツブルクでは郊外のアパートじゃなく、
ザッハーのスイートルームに泊まってるけど、気さくでお茶目なのに実はシャイなの
は今も変わらないし、若くしてトップスターになった歌手にありがちな「勘違い」
「傲慢」もない。宝石ブランドのイメージキャラクターをやってるのに
普段身につけてる指輪は、少し高級品程度のもの、ミンクのコートなんて
着たこともないと言ってた。

ウィーンで終演後に普通のレストランでメシ食ってると、彼女が後から入ってくる
ことは珍しくない。偶然行きつけのレストランが同じというだけなんだが、予約
なんてしてないのか、普通のテーブル席に座ってるよ。
食ってるものも庶民的なメニューが中心。

ウィーンでのムーティ御用達レストランにはムーティの指定席があり、彼が指揮
した日は、その指定席周辺のテーブルを女性ファンが予約して取り囲んでいるのと
対照的。