>>266
素晴らしい企画だ。
弦楽四重奏の第一番と第二番が、やはりボロディン的には
(というよりロマン派あるいはロシアの室内楽としても)最高の音楽で
あることが良く理解できると思う。

ピアノ五重奏や弦楽五重奏などは初期作品であるが、
ボロディンの「育ちの良さ」が堪能できると思う。
若き日の彼はチェリストであり、室内楽を演奏しまくることによって
音楽的な教養を深めていった。Aルービンシュタインの弟子であることをもって
チャイコフスキーのことを「西洋派」、ボロディンを民族楽派、と区別する
言い方があるが、これら初期の室内楽を聴けば、ボロディンがチャイコフスキーよりも
はるかに、メンデルスゾーンやシューベルトをはじめとするロマン派の音楽や
バッハを理解していたということがわかる。

このCDに、チェロソナタが載っているかどうかが心配だ。
チェロソナタは、3楽章が補筆されている未完成作品ではあるが、
バッハの無伴奏ヴァイオリンソナタのフーガ主題を
ライトモチーフに用いているユニークな曲。
グリーグやラフマニノフのチェロソナタを予感させる、北欧的な
息吹も感じる。まあ、彼がチェロ協奏曲を書かなかったことや、
このソナタのチェロパートの感じからして、チェロが死ぬほど上手では
なかった(ちなみに若き日のオッフェンバックはこれと正反対に、
パガニーニに匹敵する超絶技巧チェロ奏者だった)ことが伺える。
逆に、彼が室内楽をいかに楽しんでいたかということも伺えるCDだといえる。