さて遅まきながらインバル/チェコフィルの新譜(EXTON EXCL-00077)の感想を書いてみることにする。

細部に至るまで的確にコントロールするインバルの棒は、さすがに現代のマーラー演奏の第一人者とされるだけのことはある。
しかもそのコントロールが近視眼的な遊戯に陥ることなく、曲を全体として、陰影が濃く、しかしおおらかな一編のメルヘンとして
語らせることに成功していると思う。

あえて難点をひとつ挙げれば、残響の多いホールで音響を混濁させないための措置なのか、フレーズの移り変わりの場面等で
いささか表現が間延びすることが何度かあるくらいだろうか。個人的な願望だが、インバルがもう少しデッドな音響のホールで、
アメリカのパワフルなオケを存分にドライブしてマーラーを録音してくれたらいいなと思う。