セルの逸話

ピアノ協奏曲のリハーサル中、ピアニストがセルに言った。

「マエストロ、ここは弾くのが難しいので、そのテンポでは弾けません。もう少しテンポを落として頂かないと」

セルは「ちょっと失礼」とピアノの前に座ると、その部分を指示したテンポで弾いてみせた。
そして、ピアニストにこう言った。

「よろしい。ピアノは私が弾こう。君は指揮をしたまえ」

ピアニストはセルの指示通りのテンポで弾かざるを得なかった。