親愛なる皆様

 シャルル・デュトワ氏が指揮するフィラデルフィア管弦楽団のコンサートに出演できず、非常に申し訳なく思います。
 娘の一人がまもなくヨーロッパで出産する予定で、その時が近づくにつれ、娘の出産に立ち会ってやりたいという本能的な願いが強まってきました。
 私のこの気持ちと、皆様の前で演奏せずに日本を発つことに致しました決心をどうぞご理解ください。
 皆様をがっかりさせてしまうことはよく分かっているのですが、私自身3人の娘を生んだ者として、新しい命が生まれる非常に大切な瞬間を家族と分かち合うことは大切なことなのです。
 1980年のショパン・コンクール以来私が尊敬する才能あふれるピアニスト、イーヴォ・ポゴレリッチ氏が代わりにショパンのへ短調の協奏曲を演奏してくれることになり、嬉しく思います。
ショパン生誕200年の年に彼の個性的なショパンを楽しんでいただければと思います。
 すぐまたお会いできることを楽しみにしております。

 マルタ・アルゲリッチ