宇野功芳はニッポンで最初にブルックナー作品の真価を、その「聴き方」を世に知らしめた音楽批評家だ。
吉田秀和は渡欧したとき、クナッパーツブッシュのブルックナー第7を聴きながら眠っていたのだ
(それを率直に吐露する吉田はやっぱり偉い)。
1930年生まれの宇野こそが、ブルックナーの聴き方を教えてくれたのだ。
今でこそ多くの批評家がブルックナーを論じる。しかし、宇野がいなければ今日のブルックナー理解はな
かったかもしれない。朝比奈隆がいなければ、ではない。宇野功芳がいなければだ。このことはおそらく、
いくら強調しても、し過ぎることはないだろう。
宇野には現代の疲弊したクラシック音楽業界への多くの提言ができるはずなのに。
最近では40歳台の批評家が結構露出しているが、まだまだ説得力がないように同じ年代の評者などに
は見える。宇野には、まだまだ老け込んで欲しくない。新しいブルックナー論、『ベートーヴェンの名盤』
の最新版(かつて音楽之友社から出ていた物の)、ショスタコーヴィチ論・・・
いずれも待望の企画ではなかろうか。