村上春樹がデビュー作の中で、神戸を離れる主人公「僕」が、
親友「鼠」に贈ったのが、グレン・グールドのLPレコードだった。

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「それからベートーベンのピアノ・コンチェルトの3番。」
 彼女は黙って、今度は2枚のLPを持って戻ってきた。
「グレン・グールドとバックハウス、どちらがいいの?」
「グレン・グールド。」
 彼女は1枚をカウンターに置き、1枚をもとに戻した。
「他には?」
「〈ギャル・イン・キャリコ〉の入ったマイルス・デイビス。」
 今度は少し余分に時間がかかったが、彼女はやはりレコードを抱えて戻ってきた。

    『風の歌を聴け』(村上春樹のデビュー作)