>>612
巷間、フォーレの室内楽曲の最高傑作としてピアノ五重奏曲第2番が挙げられるし、
それを否定する者でもないけど、個人的な好みとしては、同じ五重奏曲の1番の方が好きだな。

2番は立派だし第3楽章も美しいけど、1番は曲想全体がチャーミングだと思う。
第1楽章冒頭のアルペジオから美しく、第一主題が立ち上がってくるまで聴いていてワクワクしてくる。
で、第二主題が聴こえ始める頃には、チラチラと第3楽章の主題が見え隠れしてくるあたりも、
何ともいえない。
第2楽章は、一聴、瞑想的だけど、第3楽章の愉悦を抑えがたく前触れを表している。
そして第3楽章は、音で描かれた絵画だね。
ルノアールやモネ、ユトリロらが描いた古き佳き巴里といった風情がある。

第1番の作曲年は1905年だけど、この頃には既に、シェーンベルクの「浄夜」、ドビュッシーの「夜想曲」、
リヒャルト・シュトラウスの交響詩は「英雄の生涯」まで、全て出揃っていた。
そう考えると、フォーレの最も優れた美質であるところの、「時代や社会の流行を一切受けない」ということが、
この第1番には最良の形で現れていると思う。

長文失礼