>>196
一概に最新録音の方が古い録音より「良い」とはいえないのが面白いところ。

確かに録音機材は半世紀近く前よりも飛躍的に進歩している。でも環境は
昔の方が遙かに良い。まず、「指輪」をスター級のキャストと一級の指揮者、
オケでスタジオ録音するなんて馬鹿げた話、今なら企画として絶対に通らない。
スタジオ録音なら、マイクの位置や本数、セッティングを理想的に出来る。

そして、録音機材にしたところで50年代後半から60年代なら、アナログ録音機
としてはそれほど悪くない性能を持っている。結構馬鹿にされるけど当時の
アナログオープンリールの性能ってかなり高くて、最新の録音機器と特性的には
良い勝負をする。現代のデジタル録音機と何が決定的に違うかと言えば「操作性」
と「編集の容易さ」。当時のアナログ録音機を今の技術者に使えといっても、
多分使いこなすのは無理。また、高品位のアナログだからこそ、初期のデジタル録音
にはない情報量がある。

私見だけど、技術者も演奏家も質は確実に当時の方が優れていたと思う。それが
理想的な環境で録音を行ったのだから、理想的な環境でマスターが保管されていたら
今の技術を使い、製品として相当な音に仕上げるのは可能だろう。

現代は確かに録音機器は発達したけど、環境や人的資源の面では当時とは比較しようも
ないくらい劣化してしまっているのでは?

件の「指輪」ではその後いくつか録音がなされているが、カイベルト、バイロイト
の録音とこのショルティ、ウィーンの録音が録音と演奏の質において未だに双璧で
あるとおもう。