ギレリスとバックハウスには、共通の素っ気なさがある。
ここをもうちょっとこうすれば、もっと気持ちいいのに・・・
といった箇所が多くある。
抑制を効かすことで、逆に深く曲線的な感情を表現できる。

頑固おやじの料理人と同じ。
妥協することで、一般人には口当たりがよくなっても
結局飽きられる。
この辺を分からずに技巧的なことばかりに目がいく
評論には、一切目を向ける必要などない。

本質を突き詰めるように追求すべきであって、
許容の範囲を広げることは、決してプラスにはならない。
バックハウスもギレリスも、
またさらにはベートーヴェンも、一般人には度量の狭い人間に映ったはずである。