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'10 1/29・30 札幌交響楽団 第525回定期演奏会

'10 2月10日 北海道新聞 夕刊
期待たがわぬウォルフの指揮
 今回札響の指揮台に立ったのはイギリスの俊英ジョセフ・ウォルフ。
名指揮者コリン・デイビスの子息だが、それゆえに特別視されることをよしとせず、現姓を名乗っているという。
 第1曲はベルリオーズの序曲「海賊」。疾駆する弦楽器群、小気味よくリズムを刻む管打楽器群と、管弦楽法の練達の士であったベルリオーズの面目躍如たる作品だが、はじめにこの曲をもってくるあたりにウォルフの見識をみる思いがする。
冒頭の快速なパッセージはさわやかに満ち、続いて登場する優美な主題はしなやかに繰り広げられる。札響も鮮やかな演奏でこの作品の魅力を描ききった。
 続くメンデルスゾーン「バイオリン協奏曲」は、予定されていたソリストが出演をキャンセルしたため急きょ韓国の若手シン・ヒョンスが代わりを務めた。
ほっそりとした立ち姿にふさわしく細身の音でこの名曲を奏でたが、若い女性の感性がそこここにあふれ、聴衆を魅了した。
 最後はシベリウス「交響曲 第2番」。イギリスは早くからシベリウスの作品演奏に秀でた指揮者を輩出してきたが、父デイビスもまたシベリウスを得意としてきた。
それゆえにまた期待するところも大きかったが、ウォルフの解釈は雄渾にして細密、堅実にして鮮烈。
いたずらに作品のポピュラリティーを強調するような演奏に走らず、あくまでもスコアに刻まれた作曲者の意図を描く音楽作りに大いに共感した。
 若くしてこのような姿勢を貫ける精神性は並みのものではない。ウォルフの指揮に見事にこたえた札響も称賛に値する。
優れた指揮者こそがオーケストラの実力を引き出せる、ということを実証した一夜であった。
1月29・30日、札響・キタラ大ホール
(中村俊夫・道教大教授)