ケンプは、良くも悪くも、生演奏に重きを置いたのでは?
フルヴェンと同じく。

それは、現場の即興性・インスピレーションを重視するとともに、
その日の気分・感興に左右されることになっただろう。
リサイタルの質としてはムラがあった。
神懸かりな日もあれば、ボロボロな日もある、という。
それでも、ひとびとに広く音楽的至福を与えることを旨とする
元・教会オルガニストのケンプとしては、何の引け目も疵も感じなかっただろう、
「畢竟、音楽は生き物、生ま物なのだから」と。

それに対して、バックハウスはより職人的、工芸的、
気分が乗らないなら、カンナも鑿も手にとらん、
自宅で練習に励むべきだ、といった覚悟を手放さなかっただろう。

どちらも真実じゃないかな。
少なくとも、俺にとっては二者択一方式に、優劣を決める類いの話ではないね