>ケンプはその後84歳まで8回も
>来て、いつも大歓迎を受けた。

ここに大きな誤解があると思う。
日本人はケンプの精神性に魅かれただけ。音楽性ではない。
どうしてもベートーヴェンでは高齢になると、よっぽどの練習と情熱がない限り、
体力の限界がきてしまう(シューベルトでは問題なくても)。
名前が売れると、いろんな所に引っ張り出されるから、頑固ジジイでもない限り衰える。ケンプしかり。
ヨボヨボにならずに人生を積み重ねることは生半可なことではない。
バックハウスのステレオは、そうした積み重ねからくる本質がぎっしりとつまっている。
確かに彼でさえメカ的には衰えているが、核心部はむしろ強くなっているように思う。
バックハウスの来日が増えなかったのは、バックハウス側が長旅でコンディションを
整えるのが難しい、などの職人的こだわりがあってのことじゃないかな。
こういう人は、単に弾けばいいとか、相手が喜べばいい、とかいう考えは一切ないはず。
外面を整えない演奏でもあったのだろう。その中身が理解されず、評価もイマイチだったと推測される。