あいまいな音は一切ない。
外面的には冷たさを感じるほど明確に弾かれているのに、
ゆっくりとじわじわ心の奥底から伝わる熱さがある。
こういう音楽はこれまでに存在しない。

これは間違いだろう、と誰もが思っていると、
後になってそうだったのか、という瞬間がいくつもある。
教師に言われたまま弾いてるうちは、こんな斬新で革新的な解釈は永遠に出てこない。
後期の演奏は、楽曲同様、かなり分かりにくい。

そっけなさが最も近い表現だが、そうでなければならない理由・理性が存在するのだ。
常識にとらわれずに、長い時間をかけて積み上げてきた音楽。
無駄をそぎ落とし、骨格のみを残した演奏になっている。