交響曲第40番、第41番『ジュピター』
スヴェトラーノフ&スウェーデン放送交響楽団(1988、93 ステレオ)

すっかり涼しくなり、快適な季節になった。今年は秋が長そうなのが嬉しい。
モーツァルトはいつの季節に聴いてもよいが、特に短調の曲は秋向きという気がする。
まずはスヴェトラーノフがスウェーデン放送交響楽団を指揮した最後の交響曲2つ。
ジャケットに記された演奏時間を見た人は間違いなく驚くはずだ。
第40番が37分、しかもその三分の一が第2楽章。
一方、第41番は34分。
なんと第40番のほうが長いということになる。
その40番、第1楽章は予想通りたいそうゆったりと運ばれている。
テンポが遅いだけではない。
フレーズの作り方がきわめて長い。
すべてのパートがよく歌いこまれている。
と言っても、全然脂っぽくない。
穏やかな海が静かに上がり下がりしているような感じだ。
それが実に美しい。
慌てず騒がず、刺激成分は皆無だ。
感情に駆られて高揚する気配など微塵もなく、悠然と構えたままで音楽が膨張伸縮を繰り返す。
広大な平原のような・・・こんなモーツァルトもなかなかないものだ。
それだけに再現部に入るところで少しだけ歩みを緩めるのが実にロマンティックで、ことのほか印象的。
この楽章は切羽詰まったいきり立つ演奏でもいいし、このようなおっとり型でもいい。
まったく不思議な作品だ(そういえば、アーノンクールの最新ライヴ盤は、スヴェトラーノフとは真逆の、しかしものすごく説得力がある演奏だった)。