Y:このところ単身赴任のような日々を送っていまして……例えばYoutubeとか佐野元春さんのラジオ番組のような存在が私の中で大きくなってきてしまったんですけど……。
橋:かつてTBSで『刑事くん』というドラマがありましてね。警察官である父親を殺した犯人を捕まえるために刑事になった青年の物語なんですけど。
その中で佐々木守くんが書いてきた第3話の『初恋・戦場ヶ原』という脚本……あの話が、我々の一番やりたい路線だったわけです。
Y:三角関係ですかね?
橋:主人公の三神鉄男を、相手側の事情が分かれば分かるほど逡巡してしまうような青年像にしたかったんです。
Y:橋本さんはよく「監督・プロデューサー・脚本家という正三角形の頂点に立つのが作品だ」とおっしゃられてたそうですが、元々はそこから出てきた発想という気がしますね。
橋:犯人や事件の関係者に感情移入してしまう鉄男は常に思い悩む。ならば刑事を辞めればいいんですが、辞めずに続けていくための枷が父親の話なんですよ。
Y:その父親ってのは……自己の存在の証し……アイデンティティのことだと思うんですけど。