ハイドンほど、その音楽的精神が健常、健全、健康だった作曲家は他にいないのではないか?
ハイドンにも短調の曲があるが、それらも、あくまでも健常、健全の精神の基に作られている。
つまり、その音楽には、異常なもの、病的なものはいっさい含まれない。
同様の作曲家にメンデルスゾーンがいる。
これは、育ちというよりも、素質の問題であろう。
ロマン派以降、人々は音楽にも、異常なもの、病的なもの、心の中の闇の部分を反映したものに惹かれるようになり、
そのような曲がもてはやされるようになった。
麻薬中毒にはまっていったようなものだ。

つまり、音楽に「異常なもの、病的なもの、闇のもの」を求めてしまう性癖が身についてしまい、
音楽にそういうものを求めて、そういう部分ばかりを探してしまうのだ。
ところが、ハイドンやメンデルスゾーンには、いくら探してもそういう部分はない。
それで、「つまらない、退屈だ、深みがない、単調だ」と思ってしまう。
自分が精神的に侵されてしまっていることに気がつかないのである。

だから、時々、ハイドンやメンデルスゾーンを聞き、耳の垢を洗い流し、
音楽的精神を健常に戻すこと、リフレッシュさせることが必要である。

そうしないと、闇の泥沼にズブズブとはまり込んでしまい、二度と戻れなくなってしまう。