私は、物事の流れに竿を差す様な指揮法を取るなというだけは言ってきたが、
第九に対する具体的な要望は一切出していない。それでも前者の問題は、
コバケンは絶対直して来ると思っていた。しかし後者に関しては私は諦めて
いたのである。ところが今日楽屋でコバケンさんは、“大神田のお蔭である”
と、わざわざ言って下さったのだ。これはかなりの名誉であるかも知れない。
しかしそこまで御自分を修正される姿は、あまりにも偉大と言うしかないだろう。
愚か者は決して人の意見など聞こうとはしないからだ。