コバケンと日本フィルのブラームス4、私には極上の空間だった。
日本フィルが1月にやった、飯守泰次郎のブラ4では、飯守は冒頭、
妙にもって回ったルバートをかけたが、今日のコバケンは冒頭、思った
より素直だった。今日のコバケンで感心したのは、とにかく横へのしなり
のある動きだ。過度にうねりが強調されている訳ではないが、
昔程ベタベタ停滞せず、それでいて凄く味わい深い。
彼のブラ4で特徴的なのは、スケルツォ的な攻撃性より、四拍子的な
重厚さが漂う第三楽章だ(本来二拍子)。飯守が本当に肉食的な音楽ならば、
コバケンのはもっと質実剛健で、これは第三楽章がソナタ形式で書かれて
いる事を考えると、手応えを感じさせる良いテンポだと思う。実はここから
最終楽章への移行、そして終結まで、コバケンは今日、あまり劇的にテンポ
を揺らさなかった。これは大正解である。最終楽章の変奏形式は、実は私の
知性では理解に余るが、しかしコーダの快速指定を、あまり正直に守り過ぎ
ると、スクロヴァ読響の様な拍子抜けな終わり方になるし、今日のコバケン
の作り方なら余計、いたずらに慌てて騒いで終わってはいけない。そういう
意味でも、またしてもコバケンの新境地、成長が垣間見られた演奏会だった。
ここではむしろ、コバケンの慎重な三拍子が功を奏したと思う。

ただ、アンコールのハンガリー舞曲第1番は、残念ながら汐澤安彦には
及ばない。流動感の作り方と、落差の見せ方が、コバケンの場合まだまだ
不器用だ。

さて、次のコバケン日本フィルは、5/29のドヴォルザーク8番となる。
彼のドヴォ8は極めて神秘的な世界なんだが、もう少し、しなやかに流れ
ていい所もある気がする。

また、コバケンの新たな読みに期待したい。