インバル/フランクフルト放送響 1987 ★★★★

この曲に対する覚悟が伝わってくる。一音一フレーズの美しさに胸を震わせ、虚空に産み落とされていく
粒が凶暴性となって表象の場がはみでる。愛ゆえの暗い仕打ちが涙とともに流れていき、
部分は細分化される。細い、落ち着き払った演奏だ。すべての楽器が混然一体とし、混沌を
紡ぐのだ。和音が味覚で確かめられ、反芻される。あふれる情感がとめどない。
正確無比は墓碑、という表現が当たっている。その重量のある石は、第二楽章で丁寧に刻まれていく。
あまりに金管が重すぎる感があるが…トリオでの和音進行一つ一つにドラマがある。
絶妙なテンポ操作が胸を開き、音楽を感動的なものにしている。
三楽章もアンサンブル・響きのブレンドが素晴らしく、粘るのにどこか蒼褪めた主題が魅力的だ。
なお、四楽章も付いているが、これは退屈な音楽である。