重心が低いドイツ的な音に驚かされる。
クレンペラーはこんな響きをイギリスのオケで出していたのだ。
音楽は熱気を孕みつつ、たちまち膨れ上がり、ベートーヴェンが思い描いたであろう宇宙的な広がり、
広大深遠な精神世界がクレンペラーの指揮によって出現する。
音楽の進行は、それ自体が宇宙の創造と発展を見るが如き壮大さである。
この雰囲気はまさに異様だが、ライブ並みの高揚が感じられるすばらしい演奏である。
ベートーヴェンその人が指揮をしているような印象を与える感動の名演。
骨太、威風堂々の力演である。
この楽章のバリトンソロはあのハンス・ホッターがつとめていて、貫禄十分のレチタティーヴォを聴かせる。
音楽が「今ここで」生まれる瞬間に立ち会うようなすばらしい演奏。
スタジオ録音だが、ライブの熱気を孕んでいてすばらしい。