以前、お会いしたのは2年前。日比谷のホテルのバーでアフリカの話をした。もともとがヘビースモーカーなので、灰皿が吸い殻の山になった。

 病後、たばこをやめた。困ることが出てきた。大好きなマージャンと原稿書き。「一服できないと、全然面白くない」。長年愛してきたのはハイライトとマールボロの赤。ニコチンが強く、のどに強い圧迫感のある本物のたばこだ。

 「長生きには、吸わないのがいいのか、吸うのがいいのか、議論のあるところでね。たばこで死ぬ人も、糖尿など食い過ぎで死ぬ人もいる。もう一つは、たばこや食に急ブレーキかけて、そのストレスで死ぬ人。屁(へ)理屈だけど」

 論は勢いを増す。「百害あって一利なしと言うけど、文化は悪徳が高い分、深い。人類が発明した偉大な文化であり、たばこの代わりはありませんよ。これを知らずに人生を終わる人を思うと、何とものっぺらぼうで、気の毒な気がしますね」

 でも、そんな文化ががんをもたらした、と向けると、「そうとも言えない」と首を振る。「肺がんに直結しているようだけど、たばこは引き金で、本当の原因はストレスなんです」

 たばこが原因だとは今でも思っていないのだ。