「ボダンツキーのトリスタン」
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ボダンツキー指揮のトリスタン、1937年メトロポリタン歌劇場でのライブ録音です。
歌手はメルヒオール、フラグスタート、ホフマン、トールボルク、ガボーなど、
この時期のメトロポリタンおなじみの豪華絢爛キャストです。
これらメンバーの加わった(特にメルヒオール、フラグスタートのコンビの)トリスタンの録音は様々な指揮者で数多くあり、
そのいずれもがこの最強メンバーと言っていい歌手陣の加わることで名演を生み出しているのですが、
このボダンツキー指揮の録音は第3幕が恐ろしい迫力です。ボダンツキーという指揮者は職人気質というか、
あくまで「劇」としての音楽表現作りをする指揮者で、決して観念にのまれた雰囲気作りのための音楽をしない人で、
どこまでいっても劇進行に寄与するために音楽を作っていき(たとえば同年のワルキューレ第二幕初めのほうのヴォータンの登場する部分の
「かっこいい」表現を聴いてみればわかるでしょう)、それがために「ワーグナーの音楽の深い表現をなしえていない」
と誤解されることもしばしばあるのですが、その劇の表現のために必要とされる個所では翌年のパルジファルのように
いかなる指揮者も及ばないような巨大で、圧倒的な音楽のうねり、アーチを形作ることができます。
さすがマーラーの弟子と言えるのですが、このトリスタンでは第三幕冒頭のトリスタンの詠嘆(最高の「二日酔いの音楽」です)の場面、
最終のイゾルデの愛の死の部分の伴奏の音楽作りがすさまじく、これら外界の進行が少なく「心理的な」劇進行がなす部分で
劇表現のための圧倒的な音楽の織物の伴奏をなし、聴いている側としては、
劇として登場人物(トリスタン、イゾルデ)が独白し、伴奏もその内面を表すために流れていって、
見事な劇表現を作っている一方で、