「ベルクの叙情組曲、シェーンベルクの幻想曲の最高の名演」
http://nekossika.blog27.fc2.com/blog-entry-193.html
 「In Honor of Rudolf Kolisch」と題して、シェーンベルクの弟子のヴァイオリニスト、ルドルフ・コーリッシュの関わった録音を集めたアルバムです。
シェーンベルク、ベルク、ウェーベルンらのサークルに加わり、彼らの曲を共に分析、演奏し、
ウィーン私的演奏協会でも同時代の作品を積極的に演奏、紹介してきたコーリッシュ弦楽四重奏団によるシェーンベルクの弦楽四重奏曲全集(1〜4番)は
まあ言うほどのこともない出来ですが、彼が第一ヴァイオリンとして加わったプロ・アルテ弦楽四重奏団の演奏は秀逸で、
線の細い、各楽器の音の動きが浮き上がる音色のこのアンサンブルでの演奏は特に細密で繊細なベルクの叙情組曲に合い、
熱気のこもった演奏でこの情熱的な曲を繊細に、華やかに表現してみせ、同曲の最高の演奏といっても差し支えありません。
バルトークの弦楽四重奏曲第5番では特に尖鋭性や民族性を押し出した演奏でなく、素直にアンサンブルを洗練させた演奏なのですが、
優れた演奏で、特に第二楽章冒頭の悲歌でかもし出す情緒は比類がありません。
コーリッシュによるバルトークの無伴奏ソナタでは、今の演奏に比べてテクニックで劣るところはありますが、
さすがシェーンベルクのもとで曲の分析力、アプローチを鍛えてきた12音技法の演奏家。
この難解な曲の動機や楽式の骨格を見事に浮かび上がらせて、曲の枠組みをしっかりと表現して言いたいことがはっきり分かる演奏です。
シェーンベルクの作品47の幻想曲でもグンナル・ヨハンセンの瑞々しい伴奏でこの作曲者晩年の12音技法に埋もれた美しい和声を表現し、
コーリッシュの演奏とともに特にリズムの動機細胞を明瞭に表現してみせ、この曲の最高の演奏といえます。