「ヴォルフ編曲によるワーグナーピアノパラフレーズ」
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 ヴォルフのピアノ曲全集のCDですが、ここでの聴き物は彼が編曲したワーグナーオペラからのピアノパラフレーズです。
13分ほどのマイスタージンガーパラフレーズでは有名なマイスタージンガーの動機はフィナーレの部分だけに現れ、
全体に愛の情景の動機、「朝はばら色に輝き」の歌など穏やかな性質をもつ動機、旋律ばかり並べられており、
この喜劇のところどころに現れる牧歌的な気分を維持し続け、全体に朝のすがすがしい光が差し込むような感じを与えます。
28分ほどのワルキューレパラフレーズはヴェルズングの動機から始まり、
フンディングの動機、剣の動機、ジークリンデの動機、美の動機、愛情の動機、ヴェルズングの悩みの動機、春の歌などおなじみの動機が次々と現れ、
最後はオペラ最終のヴォータンの魔の炎の部分で終わります。
これら編曲は若書きによるものですが、ピアノの名手でもあり、後年の歌曲のピアノ伴奏にも凝ったピアノ書法をなしたヴォルフらしく、
非常に優れた編曲であり、無駄な音符が無く、二つの手でできる最大限の表現と効果を上げています。
ワーグナーのオペラは長大なためなかなか一人で弾いて楽しむというわけにいかないのですが、
特にワルキューレパラフレーズのほうは長大なニーベルングの指輪のオペラの動機、旋律が要領よく並べられているため、
一人でも劇全体の大事な場面、音楽のところどころを表現することができ、
聴くだけより弾いて楽しむのにより適している編曲といえるかもしれません。