「音楽における多様な価値観を気づかさせてくれるアルバム」
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 西欧音楽で長らく発展しなかったものにリズムの要素があります。
例えば、民族音楽学者であるクルト・ザックスが非西欧圏から来た客人をコンサートに連れて行って、
西欧クラシック音楽の代表作とされるベートーヴェンの第九交響曲を聞いてもらったとき、
その客人が言った言葉が
「とても素晴らしい。しかし単調な曲だ」
と、そのリズムの単調さに辟易した話を著作中に書き記しているように、
普段から西欧音楽のみに触れている身ではなかなか気づきにくい、リズムの単調さが西欧の伝統的な音楽にはあります。
このアルバムはアフリカのピグミーの間に長らく伝わっていた伝統音楽と、リゲティ、ライヒそれぞれの曲を組み合わせて、
そういった西欧の音楽世界で長らく顧みられてこなかったリズムの要素に陽を当てたアルバムなのですが、リゲティ、ライヒはともかく、
ピグミー達の民族音楽の精緻な構造と複雑なリズム、多様な曲種には誰しも驚嘆するでしょう。
ドビュッシーがパリの万国博覧会で初めてインドネシアのガムラン音楽に触れたとき、
彼らの音楽を「パレストリーナにも匹敵する美しい音楽」と評したように、
決して音楽の美の世界は西欧の芸術音楽のみの一極集中ではありません。
そういった多様な価値観を改めて気付かせてくれる貴重なアルバムと言えるでしょう。