古代ローマの本拠地イタリアは中世・近世でも欧州の文化先進地だよね。
ルネサンスは言うに及ばないが、18世紀も改めてイタリアが注目された時代
だった。1748年にポンペイの遺跡が発見され当時の古代志向に拍車をかけた。
また、ローマはこの時期に興隆した美術・建築の一大潮流「新古典主義」
の聖地となり多くの芸術家が詣でた。

北はペテルブルクから、南はリスボンに至る迄、宮廷に仕える芸術家として
イタリア人を1人も擁しない欧州の宮廷はむしろ珍しい。
18世紀いっぱいはこの傾向が続き、19世紀になって初めてその慣習が破られる。

イタリア、そして高度で洗練された古代の先進文化への憧れは、
欧州の歴史では持続的に見られるもので何ら珍しくはないが、
18世紀後半におけるイタリア尊重は当時の「新古典主義」と根を同じくするように思える。
美術理論家ヴィンケルマン(1717-1768)がバロック・ロココの過剰な装飾性を排し、
古代ギリシア美術に見出した「高貴なる単純さと静かなる偉大さ」は、
古典派音楽の単純明快、ホモフォニックな音楽、通奏低音の放棄などと
美学的に相通じるものを感じる。