マタチッチ・チェコフィル
マタチッチ・スロベニアフィル
某評論家氏一押し、巷の評判も上々のチェコフィル版ですが甘ったるすぎる気がしてなりません
悠揚迫らざるテンポでロマンティックに楽器を歌わせている点では非常に素晴らしい物があるとは思いますが、それが少し行き過ぎの感がします
もちろん音楽的には文句のつけようがない演奏なんでしょうが、何故か心に染み込まないのはどうしたものでしょうか?

一方のスロベニアフィル版は世間的には出がらし扱いされている気がしないでもないですが、私的にはこちらの方が好みです
マタチッチ節ともいえるロマッティックな表現を残したまま、楽器を歌わせる代わりに泣かせることで生まれた透明感と、言いようのない寂寥感のようなものが胸を締め付けます
ずいぶんと飛躍しますが、これを聞いていて、ふと「わびさび」という言葉を思い出しました

奇しくも人生最後のレコーディングがブル7だったというマタチッチとカラヤンですが、
カラヤンの演奏には「まだまだ何かを世に残したい」という物足りなさからくる生への執着のようなものを感じます
他方マタチッチの演奏には満足した人生と、心静かに生を終えるという諦観がうかがえる気がするのですが……