ベートーヴェンの頭の中で鳴っていたソナタ。
ベートーヴェン自身でさえ、その頭の中のソナタ
は音にしてみせることが出来なかったに違いない。

ハンマークラヴィーアは50年後には弾ける人間が
生まれるだろうといったというが、興味深い。

ベートーヴェンの頭の中で鳴っていたソナタを
音として人類が聴けるようになるのは、希代の
天才ピアニスト、ヴィルヘルム・バックハウスの
出現まで待たなければならなかった。

そして、現在、私たちは、その素晴らしい全集録
音により、いつでも、ベートーヴェンの頭の中で
鳴っていたソナタを音にして聴くことができるの
である。

いまだ、ベートーヴェンの頭の中で鳴っていたソ
ナタを実際の音に変換したピアニストが彼しかい
ないことからもこの偉業が如何に奇跡的な神業
であったかが分かろう。

ベートーヴェンをタイムマシーンで現代に連れて
きたら、涙を流して聴き入るに違いあるまい。