>>638 ケンプが巧みなピアノひきでないことは、彼自身自覚していました。
プロになるための指の訓練を受けていないし、彼もそれを好まなかったのです(有名なはなし)。
だけど彼のピアノには"詩"があるのね。それも思わせぶりな、センチメンタルなものでなくて。
何も技術の未熟――現代のコンクールでは生抜けなさそうな――を隠すためにそうしたのでなくて、
彼にとって大切だったのは、まず音楽家であること(ピアノ独奏者云々であることに先んじて)、
自分の心と身体の表現が音楽を生み出す行為であること
(過去の作品の"正統な"解釈者であることに先んじて)、
だったのですよ