チェリビダッケの録音など、演奏のすごさを伝えるための最高に理想的な
音質とは言い難いが(チェリだもの、どうしようもないが)、トスカニーニと
は比べものにならない。特に「ジャニコロ荘の松」など、オーケストラ芸術の
極致だ。生で聴いたら絶命したかもしれないと思わせるほど美しい。その最後の部分など、
この作品がある程度以上の音質でなければ鑑賞に値しないことを如実に示しているだろう。

 あるいは、バティス指揮ロイヤル・フィルを聴いてごらんなさい。
あっけらかんとした色彩とエネルギーの放射を楽しめる。
だが、同じように活発であっても、トスカニーニのほうは細かな音(のニュアンス)が
消えてしまったがゆえに、妙にヒステリックに興奮しているように聞こえて
しまう。これではヒトラーの演説みたいだ(トスカニーニなら激怒する
であろう比喩)。