ハンマークラヴィーアを君たちのために解説してあげると、
第1楽章は、彼の中期までの作品群を象徴している。
力強く推進的な楽曲はまさに彼の中期そのままである。
第2楽章のスケルツォの明るい諧謔の中に、不安や憂鬱な
パッセージがよぎる。彼の中期の活動の中にあらわれた憂鬱や
悩みを表している。
第3楽章は深い、憂鬱と沈潜のアダージョ楽章であり、中期後の
スランプの時期を表している。
第4楽章は、再生の音楽であり、フーガによって、作曲家は息を吹き返す。
フーガと、バッハの時代の音楽様式こそ、晩年の彼を支えていくことを
発見し、そのように告白しているのである。

中期から後期への作曲家の大きな転換を、音楽を通して周囲に告知したのが、
ハンマークラヴィーアなのだ。