『のだめ』における「クラシック音楽」はどうであるか。それは、絶対で揺らぐことのない
価値を持ったものとして、疑念の余地なく鎮座している。「クラシック音楽」なるジャンル
設定のいい加減であることなど、一切疑われることなく(というより、作者に疑う能力が
ないと思われる)、ただ有難いものとして扱われている。いや、だからこそ、
「ベートーヴェンってじゃじゃじゃじゃ〜んの人でしょ?」程度の人間に、第7の如く今まで
聴いたこともないであろうものを偶像として翳すことによって、愚昧なる者どもは山猿が
餌に群がるが如くはしゃぐのであろうとも言える。しかし、猿はそのような偶像で喜ぶと
しても、悟性を持った人間ならば不満を抱くはずである。「のだめ」の如き作物を
面白いとは思わないであろう。