42年盤も、編集されてる。

 合唱が思いきり「vor Gott !」を延ばして歌った後のパウゼ(楽譜では
ただの四分休符+八分休符だが、フルヴェンはここに長大なパウゼを
入れる)が、ばっさりカットされてる。
 ノイズリダクションしすぎていないCDだと、ヘッドフォンで聞けば継ぎ目
が耳で確認できる。(ノイズの音量と音質が急に変わる。)
 音楽編集ソフトで波形を見ると、合唱の直後とファゴットがボッ、ボッ、
と鳴り出す直前とでは、ノイズの音量がある所でガクッと変わるのが、目
で見て確認できる。
 ミキサーが、合唱部分は音が割れないように、ファゴットでは小さすぎ
る音でも捉えられるように、録音の時点でレベル調整をしていた結果、ノ
イズの音量と音質がパウゼを挟んで変わっていると思われる。

 で、フルヴェンのような大芸術家は別にして、欧米人には日本人のよう
な「音と音の『間(ま)』が大切」という考えがないから、「ここは無音部分だ
からカットしてOK。」ということで、切ってしまったんだろう。

 メロディア初期LPからの板起こし盤も同じだから、ソ連軍がテープを接
収した時点で、すでに編集済みテープを掴まされていたことになる。
 あのテープが実際にラジオ放送されたかどうか知らないが、ラジオの聴
取者も編集済みの音楽を聴かされていたことになる。

 結局、「録音」なんてそんなもんだろう。演奏会の聴衆が生で聴く音楽を、
我が家でそっくりそのまま聴けるわけがない。
 ライブでも何でも、所詮「音楽の缶詰」は、あくまで缶詰だ。