音楽家などというものは,キチンとした職業ではなく,社会からドロップ・アウトした者であり,
村意識の外側,つまり河原という別空間にいて,とてもじゃないが同じ村落生活者としては,認めたくない存在なのだ。
前述の『いいよね。好きなことでメシが食えて…』という言葉は,決して無邪気な羨望の言葉などではない。
『私が属して汗水をたらす現実的生活空間の外側にオマエはいるのだ』というのと同義であり,加えて言外に,
『オマエが食えているのはラッキーなことだ。社会のお情けで食えているのだ』という,残酷な呪いのニュアンスさえ含んで響く。

 私は今,国内ツアーをしている最中だ。まだ20ヵ所弱を回ったところで,あと40ヵ所ぐらい残っているのだが,
すでにもう何度も『いいよね。好きなことでメシが食えて…』と耳にした。あと何回,言われ続けるのか。