それでは、問題の過渡期の、いわばリズム的に混濁した《第四交響曲》と《第五交響曲》に移りましょう。
《第四交響曲》と言えば、第1稿のスケルツォを指します。有名な『狩のスケルツォ』はこの系列からは除外したいと思います。
改訂好きのブルックナーが第1稿を改訂せず、全く別の『狩のスケルツォ』を作った経緯は分かりません。
だれか助言した人がいたのでしょうかねえ?
少なくとも、第1稿は改訂しようがないほど分裂症的であることは間違いのないところですが・・・
ブルックナーの標題的発言というのは時々話題になりますが(《第八交響曲》なんかに材料多し)、それらはほとんど後付けと言っていいでしょう。
ところが、この『狩のスケルツォ』に限っては先付けであることが証明されます。
すなわち、すなわち作曲前にタッペルトに『狩のスケルツォ』を作曲することを予告しているのですから。
これは、狩の雰囲気を描写した音楽です。

このスケルツォがなぜ系列から外れるかというと、それは《第三交響曲》までの「速いテンポ」より、さらに速いテンポで書かれているからです。
実は、非常に速くするため、本来2小節分を1小節として記譜しているのです。