♪ 弦楽四重奏曲第83番変ロ長調「未完成」

私 「いよいよ、偉大なハイドン最後の弦楽四重奏曲だ」

妻 「このラルキブデッリ盤(VIVARTE=Sony:1996年) は、なかなか味のある選曲です。
ハイドン最後の第81、82、そしてこの“未完成”の83番の3曲に、
ボーナストラックのように収められてる小品が、四重奏楽章“老人”(02:56)。
これが、儚(はかな)くていい曲なのよねー」

私 「俺もこのアイデアには泣けた。当時ハイドンはすっかり気力が萎えていて、
この最後の弦楽四重奏曲も中間の第2楽章(アンダンテ・グラツィオーソ、変ロ長調)と、
第3楽章(メヌエット マ・ノン・トロッポ、プレスト、ニ短調)の二楽章だけ書き上げると、
両端楽章を欠いたまま 事実上 作曲を放棄してしまうんだな」

妻 「第2(3)楽章メヌエット。ハイドンが完成させた最後の弦楽四重奏楽章。
これはメヌエットであってメヌエットでない、“元気の無いスケルツォ”ってところかしら」

私 「同意、そんな感じだな」

妻 「ハイドンの最後の四重奏曲っていうから、聴く前はつい期待しちゃったけど、
   結構つらいものがあるわね。でも未完成に終わったのは、死期が迫ったのが原因じゃなく
   “放棄”したからなの?」

夫 「そう。持病が悪化して、出版社の締め切りまでに
   楽想をまとめるための精神集中もままならなかった、
   と多くの伝記に記述がある。そのつらい状態のまま、
   ハイドンは1809年まで生き長らえ、
   ナポレオンとフランス軍のウィーン侵攻の砲撃音が轟き、苛立ちと焦りの中でー」

妻 「最期の時を迎えたわけね、最悪のときに。なんか可哀相」 (続く)