続き
では、ブラームスの1番は突然出てきたのかと思うと、
3楽章はベト5番の終楽章でフーガの成功例があり、2楽章はメン2〜ショパンの
系列だけど、1楽章は類例が思いつかない。チェロにひたすら歌わせて
ピアノが伴奏する、室内楽というより歌曲の構成だと思えばいいのかも
しれないが、そうでない、たとえば1楽章の展開部に入る手前の
チェロが5度を奏でピアノが旋律を弾くような部分のヒントはどこからきているか。
その疑問は、1850年代前半に書かれてシューマンに捧げられた
モシェレスのOp121を聞いたときに氷解しました。
モシェレスはロンドンの自宅でメンデルスゾーンとピアッティを会わせたりしていて、
そこでメン2や幻の協奏曲が演奏されたりして、いつか自分もチェロソナタを書こうと
思っていたのだと思います。そういう意味で、彼は1794生まれと長老ですが、
作品としては、メン2とショパン、ブラームスとの間に位置するのです。
時代って正直なものだなと思います。ちなみに、シューマンがチェロソナタを
書いていたらどうだろうとも妄想しますが、ヴァイオリンソナタでは
あまりに名曲を書きすぎたために、ブラームスが「雨の歌」で変化球を
投げるまで勝負を出来なかったことを考えると、先例が
このモシェレスくらいだったので早い段階でブラームスがチェロソナタに
着手できたとも思われ、などといろいろ妄想がふくらむ次第であります。

ともかく、モシェレスのソナタは解説にも書いてありましたが
コンサートに載せる価値のある作品だと思います。CDに入ってるバッハ編曲の
方は、マニアックすぎて笑えますが。