>>140
難しい問題ですね。
「若い頃に出来上がった」というのは、そうなんだが、それは
「変化がない」とは同義ではないと思う。
1860年前後に、一定のレベルには達した。
交響曲は上に書いたとおりだし、室内楽としてはピアノ五重奏から
組曲(ソナタでも標題音楽でもなくフランス組曲を選んだことは
もう少し深く捉えてもいいかも)を経て、ピアノ三重奏で一旦完成している。
協奏曲としても、3つの協奏曲と1863年のロンカプで他の作曲家には
ありえない独自のレベルを示し、「フランスの協奏曲」というあり方を
提示している。

でも、この時点でオペラや交響詩には手を出していないし、
室内楽や交響曲にしても70年代80年代の代表作と比べると一皮むけてない
感じがして、つまりこれ以降も進歩・変化したのだということが判る。

ある年を境に突然、劇的に凄くなった作曲家の典型はフランクかなと
思う。分野は限定されるが、ラロやホルストなんかもそうかしらん。
独自の音楽語法を後年に見出したという例では、ドビュッシーや
シェーンベルク、アイヴス、なんかもそうかもしれない。

こういう人たちと比べたらサン=サーンスの歩みは単調かもしれないけれども、
そんなに単調かと言われると悩ましい。実際彼は彼の作品の系譜的には
どんどん新しいものを創造しつづけたのだから。
ただそれが、音楽史的な文脈における新しさを示さなかった
(あるいは本人曰く「最初から未来的であった」)だけなのじゃないかしらん。