さて、その解釈について私の1つの推論を補足しておきましょう。
音楽は時間芸術であるから、絵画のようには作品の全体を一時に見ることは
できません。時系列的優先順は絶対です。先に聴いたものが主で後から聴いた
ものはそれの発展形としてしか受け入れることができません。
ところがブルックナーは『作品全体を1枚の設計図のように捉える』という
考え方で作曲したのではないでしょうか?つまり最初から終わりまでが常に
存在し、時間の流れに従ってそれらを小出しにしていく・・・・
たとえば《第八交響曲》。解説などで譜例としてよく呈示される休止符の
付いた最初の動機は本来の主要動機ではありません。これは曲頭にたった2回
だけ呈示されるだけで、本来は25小節目で呈示される休止符のない形が
メインです。この時系列に反した呈示方法は聴き手を混乱させるだけなのに
ブルックナーはそこにどんな効果を求めたのだろうか?