その日の夕方アースキン夫人の言った通り、
エティエンヌ夫人が封筒を届けにショパンを訪ねた。
ショパンは何も知らないふりをして封筒を受け取った。
封筒の中には2千5百フランもの大金が入っていた。


ショパンは今回のこの一件をどうもおかしいと思い、
アースキン夫人に返金することを伝えた。
アースキン夫人は慌てて、今更返すのは失礼だから一部だけでも受け取ってほしいと言った。
ショパンは仕方なく1000フランだけを受け取ることにした。


元々パリにアレクシスという名の霊媒師などいないし、
3ヶ月前に封筒も渡していなかったのだ。
ショパンは他人からの施しを最も嫌う。
全てはスターリング嬢とアースキン夫人が
ショパンが素直にお金を受け取れるように配慮し創作した作り話だったのだ。