おなじみカンティクルシリーズもいよいよ次が最後になってしまった...

カンティクル第5番「聖ナルシサスの死」(Canticle V "The death of St. Narcissus")Op.89[T,hp]T.S.エリオット詞
(1974/初演1975.1.18 ピアーズ、エリス エルマウ城、バイエルン)

1973年春の心臓手術で人工弁をつけた結果、もはや我らが鰤は一切の演奏活動ができなくなってしまったが、
周辺の手厚い介助で辛うじて作曲を続けることはできるような状態だった。
なのでこれ以降のピアーズのリサイタルにはハープのエリスが帯同することになるのだが、
最後のカンティクルはこの2人が演奏するために書かれ、
「グロリアーナ」や「カーリュー」の台本作者で前年に亡くなったW.プルーマーに献呈されている。
詞は4番と同じT.S.エリオットで、ギリシャ神話の有名な美少年ナルシサスの死を題材にしていて、
この時期の鰤の状況などを思うと、この題材が選ばれているというだけで泣けてくるが、
ナルシサスの死の顛末を考えると、そちら方面に共感しがたい俺は複雑な気もしてくるぞ...
曲は10分もない短さで、シリーズ最終作だが、死の暗さはなく憧れを訴えるような不思議な明るさが漂っている。

Peter Pears, Osian Ellis - LONDON - 425 716-2
Philip Langridge, Osian Ellis - Collins Classics - 1481-2
Anthony Rolfe Johnson, Sioned Williams - Hyperion - CDA 66498
Benjamin Butterfield, Judy Loman - Marquis Records - 185
Ian Bostridge, Aline Brewer - virgin - 45525