確かに深みを目指すというよりは高みを目指すというふうな
演奏だ。しかしベートーヴェンの演奏でこのスタイルはどうか。

第7番の冒頭の強奏をわざと柔らかく美しく演奏している。
ブルックナーかなにか別の作品を始めようとしているかの
ようである。だがこの美学をベートーヴェンに持ってくるのは
的外れのような気がする。

ハイドンの104番やシューベルトの第9はこれでも気にならな
かった。
モーツァルト40番は未聴だがこのスタイルでもいけるかもしれ
ない。
だからこそ古典派交響曲の王道であるベートーヴェンに期待
してCDを揃えたわけであるが、久しぶりにじっくり聴き直して
みたらなんだこりゃ?である。

だいたい、1番が欠けているというのも気に入らない。交響曲
全集になっていないのである。

ベートーヴェンの交響曲における強奏部分には衝撃的な音が
どうしても必要だと思う。ただバカでかい音を出せばいいと
いうものでもないが、強奏すべきところは強奏しないと、ベー
トーヴェンの意図に反して、聴く者の心をとらえないのではな
いか。このスタイルで偶数番号曲なら合うと思う人もいるかも
しれないが、それにしてもこの美音につぐ美音はいったい何
なんだ。

カラヤン以上の耽美主義的ナルシシズムではないのかこれは。
こういう演奏では、ベートーヴェンそのものが聴こえてきづらい
のではないか。