バッハの平均律の演奏がずっと耳に残ってる。
アレは凄い演奏だった。各声部がまったく違う楽器のように鳴り、
全体としてオケを聴いているようだった。
あのまとまり方、あのスケールのでかさ、あの緻密さ。
往年の巨匠の生演奏を思い出す。巨匠たちが相次いで亡くなってから
あのような超常的な演奏はついぞ近年では出くわすことが無かった。
時がとまるようなあの魔法にかかったような瞬間。強いて言えば性質こそ
違うが、アルゲリッチの演奏もそのような瞬間があった。これはポリーニや
アシュケナージには決して求められないものだ。今や疑いもなく、バレンボイムは
現代のピアノの巨匠だと思う。